青嚢の書(せいのうのしょ)

超ハマってたゲームなのに、友人と奥さんにゲーム機ごと売られてしまいました。 - Yahoo!知恵袋

釣り質問だと思うけど…。
ここまで相手の気持ちを踏みにじることって出来るのか?

この話で思い出したのが、吉川英治三国志」の中の一節。
三国志では天下の名医とされている華陀(かだ)が残した秘伝の医術書「青嚢の書(せいのうのしょ)」を譲り受けた人物、呉押獄(ごおうごく)についてです。
呉押獄は曹操に投獄された華陀の牢番でした。


呉押獄はその日の内に役をやめて金城へ旅立った。そして華陀の家を訪ねて手紙を渡し、青嚢の書を乞い受けて郷里に帰った。
「俺は典獄をやめて、これからは医者で立つ。しかも天下の名医になってみせる」
久しぶり、酒など飲んで、妻にも語り、その晩は我が家に寝た。
翌朝、ふと庭面を見ると、妻は庭の落ち葉をつんでたき火をしていた。
呉押獄はあっと驚いて、
「ばかっ、何をするか」
と、焚き火を踏み消して叫んだが、青嚢の書はもう落ち葉の火とともに灰になっていた。
彼の妻は、血相を変えて怒り立つ良人へ、灰の如く、冷ややかに云い返した。
「たとえあなたの身が、どんなに流行るお医者になってくれても、もしあなたの身が。このことから捕らわれて獄へ引かれたら、それまでではありませんか。私は禍い(わざわい)の書を焼き捨てたのです。いくら叱られてもかまいません。良人を獄中で死なすのを妻として見ているわけには参りませんから」
―――ために、華陀の「青嚢の書」は、ついに世に伝わらずにしまったものだということである。

夫の大事なものを、価値が分からず妻が無きものにする、という点ではよく似ているが、その理由がどれだけ違うことか。上の質問に出てくる新妻さんもぜひ一読して欲しいエピソードだね。