ネットは市場全体を縮小させてしまう

例えば音楽ソフト業界は音楽配信サービスとiPodに代表される機器が合わさった「ネットモデル」に向かって、CD販売から大きなシフトが起きた。まさにネットに事業の中心が移行した典型的な業界と言えよう。ネットモデルは流通コストや在庫リスクが極めて少なく、コスト構造において圧倒的に優位である。そういった販売上の優位性を活かして従来型メディアであるCDに襲い掛かり、CDショップの売り上げが減少し、売り負けた結果CDショップの数が激減した。そして減少したCDショップの売り上げの分が、そのままネット配信の売り上げ増加につながればまだ良かったものの、現実はそうならず、音楽コンテンツの市場総額が減少したのである。

 からくりは簡単である。モノが売れるためには、販促が欠かせない。従来はリアルの店舗がそれを担っていた。しかしCDショップの減少に伴って販促の場が失われてしまった。ネットモデルが依存するパソコンの10インチ足らずの画面は、販促場としては極めて無力だ。従って、「販売」という側面では圧倒的な優位性を持ってCDショップを蹴散らしたネットモデルが、「販促」という面での劣位性によって御客様に訴求する場を失ってしまい、お客様が購買する気になる機会が減少して、結果的に音楽市場が縮小したのである。


ネットは市場全体を縮小させてしまう:日経ビジネスオンライン

小売店が販促に力を入れる商品ってどんなものか。
売れ筋商品か。店主のお気に入りか。そうじゃない。
「売ったら儲かる物」この一言に尽きるのでは。
安く卸して売値を高く設定させることが出来れば、利幅が大きくなるんだから店は必死になって売り込んでくれる。
だから大して流行ってないものを流行らせることも可能なんだよね。

もう一つの問題はダウンロード販売になったことで、全体の価格が下がってしまったこと。
「売ったら5%はあなたの取り分です!」と言われたとき、500円のものと5000円のもの、どちらを売りこみたいだろうか。価格が大きいほど儲けは大きい。販促への力の入れ方も変わってくる。もう少し売る側の旨みがないと、やる気が出ないんじゃないかな。
(ちなみにiTunesアフィリエイトは4%バック。85円のアプリ1本だと3円ちょっとだよ…。)